ヤマブキ 名将を奮い立たせた花。「シロヤマブキ」とは別種。

名将太田道灌を奮い立たせた「山吹の花」

ヤマブキ(山吹)は、日本や中国、朝鮮といった東アジアに分布する落葉性低木です。日本では、北海道から九州の低山や丘陵地にかけて分布しており、柔らかな日差しが差し込む森林の端や斜面、渓流沿いの崖などに自生しています。

春の季語でもあるヤマブキの名前の由来は、冬になって葉が落ちても枝は青々としていて、春にいち早く芽を吹くのでイヤメブクキ(弥芽吹く木)と呼ばれていたのがヤメブキ、ヤマブキに変化したとも言われています。

ヤマブキは鮮やかな黄色の花を多数咲かせることから、庭園にも植えられて親しまれており、新元号「令和(れいわ)」の典拠「万葉集」に詠まれるなど、古くから観賞されてきました。

室町時代中期の武将で、江戸城を築城したことで名高い太田道灌(おおた どうかん)は、「後拾遺和歌集」(ごしゅういわかしゅう)の「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」(八重のヤマブキは雄しべが花弁に変化し、雌しべも退化したもので、実がならない。「実の=蓑は一つもありません」)の歌を知らなかったことを恥じ、その後詩歌に励み、歌人としても有名になりました。道灌の「向上心」は現代に生きる私たちも、大事にしたいものです。

ヤマブキの花期は4月から5月

ヤマブキの花は4月から5月にかけて開花し、花期になると、前年枝から伸びた短い枝の頂部に、花径3㎝から5㎝程度の花を咲かせます。基本種は一重咲きですが、華やかな八重咲き品種も人気で、よく植栽されています。

ヤマブキの花言葉「気品、崇高、金運」は、花の色を「黄金」に見立てたことから言われているようです。ヤマブキは耐寒性、耐暑性ともに高く、極端に乾燥しない日なたから半日陰であれば、栽培は容易で、毎年美しい花を楽しむことができます。

ヤマブキは病害虫の発生もほとんど無く、剪定の手間もあまりかからないため、育てやすい樹木です。1つの茎の寿命は5年ほどですが、株は次々に新しい茎を伸ばして大きくなります。

「ヤマブキ」と「シロヤマブキ」は別種

「フイリヤマブキ」は、葉の縁に白い覆輪が入る斑入りのヤマブキの品種です。花は一重咲きで、成長が遅く、樹高もやや低く育ちます。なお、一重のヤマブキは実を結びます。

「ヤエヤマブキ」は、ヤマブキの八重咲き品種です。花を咲かせても結実しませんが、地下茎を伸ばして広がります。枝は細く長く伸び、樹高2m程度と、普通種のヤマブキに比べるとやや大きくなり、株は直立します。

「シロヤマブキ」はヤマブキの白花品種と思われがちですが、属の異なる別種の植物です。ヤマブキは花が5弁であるのに対して、シロヤマブキは花が4弁、ヤマブキは葉が互生であるのに対して、シロヤマブキは葉が対生であることで、比較的容易に区別できます。