アンズ 薬用植物として栽培され、ウメやスモモの近縁。果実の系統は2つに分けられる。

薬用植物として栽培「アンズ」

アンズ(杏)は中国北部及びモンゴルを原産地とするバラ科の落葉小高木で、夏に雨の少ない冷涼な気候を好む果樹です。

アンズが日本へ渡来した時期は奈良時代と言われており、平安時代には薬用植物として栽培されていました。

当初アンズは「中国の桃」を意味する「カラモモ(唐桃)」と呼ばれており、万葉集にも「唐桃」として登場します。

モモ 枝を埋め尽くすように咲き、とても華やか。邪気を祓う力をもつといわれ、サクラの花とよく似る。

現代のような「アンズ」と呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってからのことで、英語名「アプリコット(Apricot)」としても知られています。

ウメやスモモの近縁「アンズ」

アンズの花の開花時期は3月下旬頃で、淡い紅色の丸い花びらが5枚あり、果樹の中でも美しい花といわれています。

アンズの花は遺伝的に近縁にあたる「ウメ」や「スモモ」に似ていますが、これらよりも花が大きく花の数も多いのが特徴で、「杏の花」は春の季語にもなっています。

固い殻で覆われているアンズの種子の中には、咳止め等に使われるしずく型の白く平たい核「杏仁(きょうにん)」があり、その部分を粉にした「杏仁霜(きょうにんそう)」は杏仁豆腐の風味付けに用いられます。

アンズは基本的には自家不結実性ですが、自家結実しやすい品種もあります。

果実の系統は2つに分けられる「アンズ」

アンズの果実の旬は夏で、最盛期の6月下旬から7月中旬に収穫されますが、アンズの果実の系統は中央アジア・ヨーロッパ方面に伝わった「欧州系」と、朝鮮半島経由で日本に伝わった「東亜系」の大きく2つに分けられます。

欧州系のアンズは酸味が少なく甘みが強いため生で食べるのに最適ですが、夏に雨の多い気候では果実の表面が裂ける「裂果」などの発生が多く栽培が難しい面もあります。

東亜系のアンズは多かれ少なかれウメが交雑したものが多く、酸味が強いため主に「ジャム」、「シロップ漬け」、「果実酒」、「ドライフルーツ」といった加工品として利用されています。

アンズの果実の大きさは品種にもよりますが、「ウメ」程の物から「スモモ」くらいで、果皮の表面は産毛は無く「ネクタリン」のようで、果皮の色は黄色から橙で日光に当たっていたところが赤みを帯びています。

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