モモ 枝を埋め尽くすように咲き、とても華やか。邪気を祓う力をもつといわれ、サクラの花とよく似る。

とても華やか「モモ」

モモ(桃)は中国原産で2500年ほど前より栽培されており、日本でも古来よりさまざまな書物にモモの記録が見られ、日本には弥生時代以前に伝わったことがわかっています。

「桃の花」は春の季語にもなっており、枝を埋め尽くすように咲くモモの花は、とても華やかです。

『三国志演義』を読んだことのある方なら、劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の「桃園の誓い(とうえんのちかい)」を連想される方も多いことでしょう。

モモは江戸時代までは甘い品種がなかったため、薬用や観賞用の花木として楽しまれていましたが、江戸時代に甘みの強い種類が輸入されたことで品種改良が盛んに行われるようになり、花を楽しむ「花桃」と、食用の「実桃」に分けられるようになりました。

邪気を祓う力「モモ」

モモは、サクラが咲く前の3月下旬から4月頃に、花を咲かせます。淡い紅色であるものが多いですが、白色から濃紅色まで様々な色のものがあります。

ヤエザクラ 花びらがたくさんあるサクラの総称。咲いている期間が長い。

ひな祭りが「桃の節句」と呼ばれるようになった由来については、旧暦のひな祭りは、現在の暦で言うと3月末から4月中旬にあたり、ちょうどモモの花が咲く頃だったためと言われています。

現在ではひな祭りには白酒や甘酒が一般的ですが、平安時代には清酒にたくさんのモモの花を刻んで浮かべたり、杯に花びらを浮かべて飲む桃花酒(とうかしゅ)が飲まれていました。

桃花酒は、邪気を祓う力をもつモモのお酒を飲み、季節の節目を無事に乗り越えるという意味があったようです。

サクラの花とよく似る「モモ」

モモの花とサクラの花はよく似ていますが、区別の仕方としては、一般的にモモの花は、枝と花を繋ぐ花柄(かへい)が短く、枝に沿うように咲きます。

そしてモモの花は花びらの先が尖っているのが特徴的で、一節に二つの花を付けます。

これに対してサクラの花は、花柄が長く、枝からこぼれるように咲いています。

またサクラの花は花びらの先端が割れているのが特徴的で、一節にたくさんの花をつけるものもあります。

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