カノコユリ 鹿の子絞りの模様に似ている。ほとんどの花が下向きに咲き、変種が多数存在する。

鹿の子絞りの模様に似ている「カノコユリ」

カノコユリは四国南部や九州西部を中心として、台湾や中国南東部まで分布するユリです。カノコユリは地域によって自生環境は異なり、九州では海岸近くの岸壁や草原、四国では内陸の岩壁などで見られます。

カノコユリは絞り染めの一種である「鹿の子絞り(かのこしぼり)」の模様に似ていることから、「カノコユリ(鹿の子百合)」と名付けられました。カノコユリは別名「ドヨウユリ(土用百合)」、「タナバタユリ(七夕百合)」とも呼ばれています。

カノコユリはヨーロッパへはシーボルトによって「テッポウユリ」とともに持ち込まれ、「ヤマユリ」など他の種と掛け合わせて作られた「カサブランカ」などの交配種「オリエンタル・ハイブリッド」は大輪で美しく人気があります。

ヤマユリ 開花した花からは、甘く強い香り。カサブランカの親で、ユリの女王。

カノコユリは綺麗な花を咲かせることから昔から観賞用に栽培されてきましたが、自生地の減少が著しく環境省のレッドリストに登録されている絶滅危惧種です。

ほとんどの花が下向きに咲く「カノコユリ」

ユリ科の花の開花時期は6月~8月にかけてですが、カノコユリはユリ科の中では遅く7月中旬~8月中旬にかけて咲きます。カノコユリはほとんどの花が、下向きに咲きます。

カノコユリの花びらは大きく上に反り返り、草丈は1.5mほどで1茎に10~20輪ほど咲きます。カノコユリの葉は線形で10~20㎝ほどの長さで、葉に触れてみると少し硬さを感じ光沢も見られます。

カノコユリは花の中心に1本の雌しべと6本の雄しべがあり、雄しべは長く伸びた花糸とその先端にぶら下がるように付く葯(やく)からなります。葯は赤褐色~黄色い色の花粉を出します。

カノコユリの球根は食用にもなりますが、薬用としても滋養強壮、利尿、咳止め、解熱、消炎の効能があると言われています。

変種が多数存在する「カノコユリ」

カノコユリは変種が多数存在しますが、個体によって様々な違いがあります。

「タキユリ」は四国や九州の崖や岩場などに自生し、茎は湾曲したり垂れ下がるように伸びます。タキユリの「タキ」の意味は「滝」ではなく「崖」と言う意味で、四国や九州の方言です。

「タイワンカノコユリ」は台湾北部、中国・江西省に分布します。タイワンカノコユリは花色が白で、赤からオレンジ色の斑点が入ります。

園芸品種のうち「ウチダ(内田)カノコ」は紅ピンクの大輪花で、花粉は黄褐色をしており耐病性に優れます。「ミネノユキ(峰の雪)」は純白の花で、花粉は黄色です。「テンニョ(天女)」は純白の花で、ピンク色の斑点が入ります。

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