ホトトギス 斑点が鳥のホトトギスの模様に似ている。ほかの植物との競争に弱いが、様々な種類がある。
斑点が鳥のホトトギスの模様に似ている「ホトトギス」
ホトトギス(杜鵑草)はユリ科ホトトギス属の多年草で、日陰のやや湿った斜面や崖、岩場に見られます。ホトトギスの原産地は日本、台湾、朝鮮半島で、日本では主に太平洋側に自生しています。
ホトトギスの名前は、花びらの紫色の斑点が鳥のホトトギスの腹部の模様に似ていることから付けられました。
ホトトギスには「ユテンソウ(油点草)」という別名もありますが、これは若葉に油が飛び散っているような模様にも見えることに由来しています。英名の「Toad lily」は「ヒキガエルのようなユリ」という意味で、ホトトギスの模様がヒキカエルに似ていることと花びらがユリに似ていることから付けられたようです。
ホトトギスは花、草姿ともに野性味のある姿で、自然風の庭でよく用いられます。日本ではホトトギスは古くから人々に親しまれており、秋の茶花として使われることもあります。
ほかの植物との競争に弱い「ホトトギス」
ホトトギスの開花時期は8月~11月で、葉のわきに直径2~3cmで紫色の斑点のある花を1~3輪上向きに咲かせます。
ホトトギスの花色には白や紫、ピンク、黄色、複色があり、花は星形をしています。ホトトギスはあまり多くの花をつけませんが、楚々とした風情があります。
ホトトギスの茎は通常は枝分かれせず、まっすぐか斜めに伸び場所や地域によっては弓なりに垂れることもあります。
ホトトギスはほかの植物との競争に弱く、家庭で楽しむ場合には花壇やプランターより鉢植えでの栽培が向いています。ホトトギスは切り花としても楽しむことができ、見た目の華やかさから一輪挿しにも向いている花です。
様々な種類や交雑種がある「ホトトギス」
ホトトギスには様々な種類や品種、交雑種があり、主な品種には「シロホトトギス」や「タイワンホトトギス」、「キバナノホトトギス」があります。
シロホトトギスは紫の斑点が入る代表種「ホトトギス」の変種で、「白楽天」とも呼ばれます。シロホトトギスは斑点がなく、薄い色の花を咲かせる品種です。花びらは白に近いピンクで、雄しべや雌しべが桃色を帯びています。
タイワンホトトギスは、白地に赤紫の斑点が入ります。タイワンホトトギスは台湾と西表島の低地から標高1900mまでの森林や低木林などに見られ、丈夫なため改良品種も多いです。
キバナノホトトギスはヒマラヤやフィリピンにも自生している品種で、日本では宮崎県で見られます。キバナノホトトギスは明るくて鮮やかな黄色い花を咲かせ、濃い緑色の葉との対比が美しいです。湿度を好む一般的なホトトギスに比べ、キバナノホトトギスは乾燥した環境を好みます。