クワ 養蚕に用いる飼料で、歴史は古い。果実は木いちごに似ている。

歴史は古い「クワ」

クワ(桑)は、熱帯から亜熱帯の山野に自生しているクワ科クワ属の植物の総称です。

クワの語源は昔から養蚕との関わり合いが深く、「蚕葉(こは)」または「食葉(くは)」などから転訛したといわれています。

クワの歴史は古く、漢方では乾燥させたクワをお茶や薬としてこれまで使用されてきました。中国では後漢の歴史書にもクワの葉の記述があり、糖尿病をはじめ様々な病気の予防や改善に役立てられています。

雷が鳴ると「クワバラ、クワバラ」と言う理由は桑畑(桑原)には、雷が落ちないと信じられていたとする説や天変地異を起こす雷神として恐れられていた「菅原道真」の領地であった桑原には雷が落ちなかったためという説などがあります。

果実は木いちごに似ている「クワ」

クワは春に花が開花し、雄花は茎の先端から房状に垂れ下がり雌花は枝の基部の方に多数つきます。

初夏に実るクワの果実は集合果といい、成熟すると黒紫色に肥大し多汁質になるためまるで一個の果実のように見えます。

クワの果実は木いちご(ラズベリー)に似ておりムクドリやスズメ、カラスなどが好んで食べます。

国内の養蚕業は衰退したものの、桑園は果実(マルベリー)の摘み取り園として見直されてきました。また摘み取ったクワの果実はジャムなどに加工され、スーパーなどの食品売り場にも並ぶようになりました。

養蚕に用いる飼料「クワ」

クワの品種には、主なものに「マグワ」と「ヤマグワ」があります。マグワは朝鮮半島から中国にかけての地域に分布し、養蚕に用いる飼料としての品種改良を進めるために持ち込まれました。一方ヤマグワは、もともと日本に自生していたとされています。

マグワの果実は柱頭(めしべ)があまり残らず、果実が細長いのが特徴です。ヤマグワの果実は柱頭が残り果実の長さが短めですが糖分はヤマグワの方が多く、食べると甘く感じます。

マグワの葉は切れ込みがほとんど無く葉先があまり尖らないのに対し、ヤマグワの葉は切れ込みが深く葉先が細長く尖るのが特徴です。

園芸用のクワの品種には「フイリヤマグワ」や枝が下垂する「シダレヤマグワ」、曲がりくねる枝が独特であり生け花に使われる「コウテングワ(ウンリュウグワ)」があります。

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