イチョウ 日本の文化に深く根ざした落葉樹で、幹や枝にも耐火性がある。雄木が好んで植えられる。

日本の文化に深く根ざした落葉樹「イチョウ」

秋の黄葉で馴染み深いイチョウ(銀杏)は、工芸品や文学の題材となるなど日本の文化に深く根ざした落葉樹です。イチョウは樹齢が千年を超えることもあるため、神社の「御神木」とされることも多い木です。

イチョウは約2億年前の中生代ジェラ紀から現在まで続く歴史の古い木ですが、その仲間の多くは氷河期に絶滅したため「生きている化石」と呼ばれています。

日本のイチョウも氷河期に一度絶滅しましたが、6世紀半ばに中国南東部で生き残っていたイチョウが仏教の伝来と共に中国から渡来してきたとされています。

イチョウという名は、中国名の「鴨脚(イーチャオ)」に由来するとされており、鴨脚はイチョウの葉を水かきのある脚に見立てたものと言われています。イチョウは「銀杏」や「公孫樹」と漢字表記されますが、銀杏はアンズ(杏)に似た銀色の種子に由来し、公孫樹は、種子をまいても孫の代にならないと収穫ができないことを意味しています。

幹や枝にも耐火性がある「イチョウ」

イチョウの葉はWHO(世界保健機関)やFDA(米国食品医薬品局)などでハーブとして認められており、ドイツやフランス、スイス、オーストラリア、イタリアなど70ケ国以上で使用される処方薬としても知られています。

ヨーロッパでは、イチョウ葉エキスを脳機能疾患などの処方薬として使用していましたが、近年では脳梗塞などの脳血管障害やアルツハイマー型認知症などの処方薬としても使用しているようです。

日本では医薬品としてではなく、イチョウの葉の防虫効果を利用した天然防虫剤として活用されています。

またイチョウの葉は燃えにくく、幹や枝にも耐火性があるため「火伏の木」と呼ばれることから、街路や学校に多く用いられています。

雄木が好んで植えられる「イチョウ」

イチョウには雌株と雄株があり、「ギンナン」が出来るのが雌株です。

イチョウの花は4~5月頃に咲き、雄株から花粉が飛散しますが、ギンナンは11月頃には受粉していなくても肥大して食用になります。

雌株1本でもギンナンがたくさんなるのは、花粉がなくても胚珠が肥大する性質(単為結果性)のためです。

ギンナンの外皮には独特の匂いがあり、触れると皮膚がかぶれるため、雄木が好んで植えられています。

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